「発達障害の人はマルチタスクが苦手」という評判について、みんな実際どう?

発達障害ラボ

「発達障害の人はマルチタスクができない」という話は聞いたことありませんか?

しかし改めて振り返ってみると、一番身近な発達障害児(ASD)ぴぴちゃんはマルチタスクが私よりもかなりできる人なのです。

なんだか評判と違うぞ?

ということでTwitterで「実際の所どうなのか」を聞いてみると、予想していなった結論に着地!

ご回答いただけた方、本当にありがとうございますm(_ _)m

発達障害だからマルチタスクが苦手、、、?

「発達障害だからマルチタスクが苦手」は当事者や、当事者に近い立場から見て肌感覚にあったものなのでしょうか。

そもそも人間はマルチタスクに向いていない

まず、そもそも人間はマルチタスクに向いていない、ということが最近の調査でわかってきています。

マルチタスクを行うことは「1つの物事に少しの間集中する」ということを繰り返しているだけで、全てのタスクがそれぞれ脳のリソースを使っているそうです。

「100%」の集中力を小分けに使っている状態になるため効率性は下がってしまい、また、タスクを切り替える際には気付かないうちに神経生物学的なコストを支払わされています。

GigaziNe:人間の脳はマルチタスクに向いていない

あら、マルチタスクってやってるようで実際は全部シングルタスクなんですね!

しかも、マルチタスクって効率が下がるんだ。

もうマルチタスク、やる意味なくね!?

そしてこれを無意識に行っていらっしゃったのがセーブポイント(@save_pointed)さん。

すめし
すめし

ASDや定型発達は関係なく、

シングルタスクを小間切れにかつハイスピードで行う、というのは実は結構人体の理にかなっているのかもしれません。

準備次第でマルチタスクもなんとかなる(こともある)

とはいえ、実社会ではマルチタスクのように同時並行的にいろんなことを進めなくてはならないことも多いですよね?

そんなときのヒントをlixxxさんに頂きました!(鍵垢なので埋め込めませんが、了解は頂いています。)

夫の場合 苦手だからこそ 仕事ではモーレツ準備マンで マルチタスクを何とかこなしているみたいです。
(仕事はマルチタスクの権化みたいな職種です)

ただ 家庭内となるとマルチタスクは無理みたいです。

夫は50代なので 積み上げた経験で仕事は○、家事は不慣れで✕なのかもしれません。

慣れ次第では正しいシミュレーションに基づいた準備を行うことで、マルチタスクの権化みたいな職種でもなんとかなる。

これってすごい勇気づけられることではありませんか?

また、

  • 積み上げた経験で準備の精度を上げていき、仕事は不自由なくこなせられる。
  • 反対に家庭での仕事(いわゆる家事)については経験が浅く、準備が効かないので苦手

から、マルチタスクできるかどうか否かには自身の適性や能力+経験も関係している可能性が示されます。

結局個人差なのではないか

ここでぴぴちゃんについて振り返ってみると、テレビ+調理はお手の物だし、何なら10年以上やっているピアノの腕前はもはやプロのそれ

ピアノなんて、むしろできる人のほうが少ない究極のマルチタスクだと思っているのですが、、、

でも考えを整理しながら話すのは苦手だし、PC作業中は一切話しかけるの厳禁です。

逆に、私はそれなりに文章をまとめたり考えを整理して会話をすることはできますが、テレビか調理どちらかしかできませんし、ましてやピアノなんて全く弾けません。

なお「男女でマルチタスクの得意不得意はない」という調査結果が出ているため、ここでは議論しないものとします。

やはり、「発達障害だから~」というよりも「定型発達でも発達障害でも結局個人による」というのが正解なのかもしれません。

それを言語化してくれたのがねこかん(@yowakuikiru)さん。

そう、そもそも得意不得意の差が激しいことが「発達障害」の一つの定義である以上、マルチタスクひとつとってもできる人がいればできない人がいる

またある分野ではマルチタスクできる人も別分野ではできないなど千差万別、定型発達の方と大差ないのです。

マルチタスクよりも、時間配分のほうが深刻?

この結論を予知してくださっていたのか、はじめからマルチタスクじゃないところでの困りごとを上げてくださったのが西片さん(@funabashi1985)。

後輩さんのことだそうですが、なんという先見の明。

確かにASDのため、先を見通して計画を立てるというのが苦手な人が多いようですね。

これは想像力が低い傾向にあることが原因だそうで、時間配分の苦手さはマルチタスクよりはASDに身近な例とも言えるかもしれません。

悪いのは「ワーキングメモリの小ささ」

そう考えると、「マルチタスク、どう思う?」っていうのは全くのずれた質問でしたほんとすんません(汗)。

いや、皆さんの意見で見えてきたこともあるのでこれでよかったことにしましょう、うん。

ではどうして「発達障害の人はマルチタスクができない」と言われるようになってきたのでしょうか。

原因を探ると見えてきたのは「ワーキングメモリの小ささ」です。

ワーキングメモリとは

ワーキングメモリとは認知心理学用語で、記憶を一時的に保持しておき、その情報をうまく処理する能力と言われ、作業記憶、作動記憶とも呼ばれています。

誰かと会話するときなど日常生活でも頻繁に使われます。

こちらのページでは、ワーキングメモリを「机の広さ」にたとえて説明されています。

情報処理の働きを学習部屋に例えて考えてみましょう。

ワーキングメモリを作業机、入ってくる情報を本だとします。

いったん、机の上(ワーキングメモリ)に入ってきた本(情報)を並べて保存します。

そして、机の上で本(情報)を分かりやすく並べ変え、整理して必要かどうか判断します。

いらない本(情報)は、速やかに机の上(ワーキングメモリ)から捨て(削除)します。

整理した情報の中でこれからも必要なものは、長期記憶するために本棚へ移動させます。

この机の大きさ(=ワーキングメモリの大きさ)は人それぞれです。

上の図のように入ってくる情報をうまくさばける人もいれば、下の図のように机の面積が小さい(=ワーキングメモリが小さい)ため処理できる本の数が少ない人もいます。

自分の机の広さに合わない量の本が出されると、うまく処理されなかったり、机にのりきらずにこぼれ落ちて削除されてしまったりするのです。

りたりこ発達ナビ:ワーキングメモリとは?生活に不可欠な役割、発達障害との関係、調べ方、対処法をご紹介!

ASDの方やその身近な人達からよく聞く、

  • 思考がフリーズする
  • よく聞いたことを忘れる、返事をしない
  • 一つ考えると一つ忘れる
  • 映画の終盤になると序盤のストーリーを忘れる

などはこのワーキングメモリの小ささから来ていることが多いのですね。

また、ASDの方のワーキングメモリは定型発達の方と比べ小さく、自閉症スペクトラム度合いが高いほどワーキングメモリが小さいということが言われています

以上を考えると、「発達障害の人はマルチタスクができない」という評判は

  1. 発達障害によりワーキングメモリが小さい傾向がある
  2. 一度にさばける情報量に限りがある
  3. 「受話器を持って電話をしながらメモをとる」などが困難な人が出てくる
  4. 発達障害はマルチタスクできない!という評判になる

という流れで生成された程度の話だったんですね。

まとめ:マルチタスクは個人のワーキングメモリ次第

今回のアンケートから、

  • 発達障害だからといってマルチタスクができないわけではない
  • 逆に定型発達でもマルチタスクができる、というわけでもない。

と結論づけたいと思います。

また「発達障害の人はマルチタスクができない」という評判は、ASDの方のワーキングメモリが小さくなりがちな特性からきている、ということがわかりました。

今後は「発達障害だから~」とか、「ASDだから~」ではなく、相手の特性や性格に応じて向き合っていきたいと改めて感じています。

番外編:ADHDの場合、強制的にマルチタスクが開始される

なお、ADHDに片足ツッコミ気味な私としては「あるある」すぎて面白く感じた意見をくださったのがまささん(@masaroom_master)。

ブログ書いていても途中で集中切れて別記事を書き始めて同時並行になってしまい、3本同時に完成とかざらにあります。

上記の通り神経をすり減らす原因にもなるらしいので、ここは私も本当に反省せねば、、、

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