発達障害(ASD)であるぴぴちゃんは損する感覚にめちゃくちゃ敏感です。
もう「損するかもしれない」と思った瞬間、バトルのスイッチが入ったようにぴぴちゃん流の正論で相手を叩きのめそうとします。
それが顕著に出たのがヤマトに電話かけちゃう事件だったり、高熱すめしを外に連れ出す事件だったりするわけですね。
またこちらで紹介した『好き嫌い多すぎ問題』で取り上げた、「以前苦手だったものにリトライすることがほとんどない」ということも、損を極限まで避けようとするぴぴちゃんの特徴からくるものと言えます。
今回は、なぜぴぴちゃんが損する感覚に敏感なのかを考察、解決方法を考えてみました。
そもそも人間は損を避ける性質がある
ぴぴちゃんが「損するかもしれない!」という状況に人よりも過剰に反応するのは間違いないのですが、そもそも誰だって損すること自体は嫌ですよね?
損を避ける性質について説明するために、「プロスペクト理論」「コンコルド効果」から簡単に説明します。
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは、一言でいうと「なるべく損したくない!!」という人間の心理についた名前です。
利益を得られる場面では確実に得ようとする一方、「ハイリスク・ハイリターン」と「ローリスク・ローリターン」を並べられると「ローリスク・ローリターン」を選びたくなる、という心理。
これをぴぴちゃんに当てはめると、
「以前食べて気分悪くなったようなものにリトライして再び気分が悪くなるようなリスクを犯すなら、別に食べられるようにならなくてもいい」
となります。
コンコルド効果
ぴぴちゃんが記念日に体調を崩したすめしを近所に連れ回したのはコンコルド効果によって説明できます。
コンコルド効果とは、「今までこれくらいの投資(労力・時間・お金など)したのだからあとには引けない」という心理現象です。
スマホゲームのガチャなどで考えると実感が湧きやすい人も多いと思われます。
この心理現象によりすめしは40℃の高熱にもかかわらず、寒空の下を歩く羽目になったのです。
ぴぴちゃんからしたら「めちゃくちゃ楽しみにしていたイベントが無くなった!!最悪の気分!!!こんなに損をしたんだから、せめて水汲みくらい付き合ってよ!」というところなのでしょう。
すめしの一刻も早い復活をサポートして、治ってから後日改めたほうが幾分も建設的なはずなのですが、、、
損失回避性
プロスペクト理論やコンコルド効果などの心理現象の根幹となっているのは「損をしたくない」という人間誰しもが持っている性質、損失回避性なのです。
大なり小なりみんながもっている性質なので、マーケティングの現場では当たり前のように把握され、(良くも悪くも)利用されています。
例えば
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どうでしょう、1つ目より2つ目、2つ目より3つ目の方がちょっと気持ち揺さぶられません?
私なら、狙ってる商品でこんな事言われたら即買いです←
このように、人は「今動かなければ『損』するよ」など、「損するよ」という言い回しに弱いようにできているのです。
ぴぴちゃんの場合は損を嫌う性質が「極端に」高いだけ
ぴぴちゃんは非常に「損失回避性」に忠実な生き物と言えるでしょう。
原因のひとつは、自己肯定感の低さと私は考えています。
損をしたら一生取り返せないんじゃないか、損をすると自分には対応しきれないんじゃないか、私ばかり損をしたくない、などなど。。。
自分に自信がないからチャレンジできないわけです。
なお、感覚過敏などがあり苦痛の感覚が大きい場合にはチャレンジのコストが跳ね上がるので、そうなるとなかなか対策は難しいところですのでこの限りではありません。
解決方法:フレーミング効果を有効活用してうまく伝える
損を嫌うぴぴちゃんへの対応方法としては2つ。
自己肯定感を上げていくことと、損を目立たなくすることです。
自己肯定感の上げ方はこちらで解説済みなので、ここではフレーミング効果を用いて損を目立たなくする方法について紹介します。
「損失回避性」のところで例えた例はがまさしく「フレーミング効果」という考え方で、「しないほうが損」というのを強調して対象に動いてもらうテクニックです。
フレーミング効果は『人はなるべく損を回避したい』という性質と、『人は比較の中でしか物の価値を判断できない』、という性質を巧みに利用した印象操作の理論としてマーケティングでもすごく利用されています。
今回はこの効果を用いて、ぴぴちゃんの「損した感」を和らげる方法を考えてみましょう。
フレーミング効果の応用方法
例えばヤマトに電話した時なら「ヤマトが来るまでゲームしよう、来はったらそこで終わりやで!」と予め伝えておくことで、おとなしくぴぴちゃんも待てるでしょう。
もしかしたら「ヤマトまだ来るなヤマトまだ来るな・・・」とすら思うかもしれません。
また、好き嫌い多すぎ問題にもこれは応用できます。
- 苦手な食材が美味しいそうに料理されている映像を見せる
- 美味しいそうに誰かが食べている映像を見せる
- あなた自身が目の前で美味しそうに食べてみる
などを行うことで、本人の中で「ちょっと気になってきたぞ・・・そんなに美味しいのなら実は食べないほうが損かもしれない」と思わせることを狙えます。
実際ぴぴちゃんが山芋嫌いを解決したときには、はからずも私がこれを行っていました。
物は言いよう
専門用語を絡めて話をしてきましたが、詰まるところは「物は言いよう」です。
発達障害のぴぴちゃんは一見すると「利己的」「受け身」「すぐパニックになる」などの性質が目立ち、扱いづらいという印象を受けます。
ですが、見ていると「損をするのが怖いだけ」のように感じます。
言い方を変えると完璧にこちらの思い通り、とはいきませんが快く動いてくれることも多いです。
押してダメなら引いてみろ、あなたの身の回りの気難しい方にもフレーミング効果をぜひ試してみましょう。
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